老化を抑える効果があるとして、サプリメントなどで市販されている物質「ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)」を人に約2か月間継続投与した結果、安全性を確認したと、慶応大の研究チームが発表した。ただ、より長期の影響や老化抑止効果については検証が必要だという。
NMNはマウスへの投与実験で、体内で様々な働きを持つ物質「NAD+」を増加させ、老化で低下した機能を改善する効果が示されている。一方、長期間の投与が人体にどう影響するかは不明だった。
同大予防医療センターの伊藤裕特任教授(内分泌代謝学)らのチームは40~50歳代の健康な男性14人に、毎朝250ミリ・グラムのNMNのカプセルを8週間摂取してもらった。その後の検査で、体重や血圧、臓器の機能、睡眠などに影響がないことを確認した。偽薬を投与したグループに比べ、血中のNAD+が増加していたという。
米ワシントン大の今井眞一郎卓越教授(老化学)の話「今後、より長期の投与の安全性と効果について検証していく必要がある。用量を守り、正しく経口摂取することが大切だ」