iPS細胞(人工多能性幹細胞)から心臓の筋肉(心筋)の細胞シートを作って心筋
シートを使った治療は、心筋梗塞などで心筋の動きが悪くなる「虚血性心疾患」の患者が対象になる。悪化すると心臓移植が必要だが、臓器提供者が少なく、患者自身の負担も大きかった。
同社の最高技術責任者を務める澤芳樹・大阪大特任教授らは、人のiPS細胞から心筋細胞を作り、シート状に加工。2020年1月~23年3月、虚血性心疾患の患者計8人に対し、1人当たり約1億個の細胞で作ったシートを心臓に貼り付ける治験を行った。
澤氏らによると、8人全員で安全性が確認され、社会復帰できているという。
同社は、治験の症例が少なくても有効性などが推定できれば期限付きで実用化を認める「条件・期限付き承認」制度を利用する方針だ。同社は25年を目標に、この承認を取得したいとしている。
iPS細胞を使った医療用製品は、世界で開発競争が激化している。国内では、住友ファーマ(大阪市)が24年度にも、パーキンソン病患者に投与するiPS細胞由来の神経細胞の承認申請を目指すなど、実用化に向けた研究が進む。