数か月前から口の中で、しょっぱい味がします。内科検査で亜鉛や 膠原 病などの異常はなく、耳鼻咽喉科が処方した薬も効果なし。歯科で部分入れ歯を入れるために通院中ですが、原因は不明です。(66歳女性)
唾液減少や歯石の影響も
三輪 高喜 金沢医科大学病院耳鼻咽喉科長(石川県内灘町)
味覚障害は、味がしなくなったり弱くなったりといった量的障害と、味が以前とは異なって感じたり常に特定の味を感じたりするなどの質的障害( 異味 症)とに分かれます。
相談者は、異味症と推察されます。味覚障害の原因は、 口腔 乾燥を含めた口腔内の異常や亜鉛欠乏、薬剤、糖尿病や貧血などの全身疾患、頭部外傷や脳血管疾患に加え、加齢、心因性など多岐にわたります。複数の原因が合わさって起こることも少なくありません。特定の味覚に敏感になっているのかもしれません。
亜鉛欠乏や全身疾患がないとすると、加齢に伴う唾液分泌の減少や、歯石の付着など口腔内の衛生状況の変化が可能性として考えられます。歯科に通院中とのことですので、部分入れ歯を完成させるとともに、歯石や歯周病の有無を調べてもらい、処置と衛生指導を受けることをお勧めします。
口の中がしょっぱく感じるという症状があっても、食べ物がおいしく食べられるのであれば、過剰な心配は不要です。食事がまずくて食べられないという状態なら、栄養低下による全身への悪影響や、うつ、不安など精神的な影響も起こり得ます。食物摂取の低下や栄養不良はフレイルにもつながるため、耳鼻咽喉科や歯科などの専門機関の受診をお勧めします。